「地中海式食事法」や「地中海式ダイエット」という食事法がありますが、みなさんご存じでしょうか?
オリーブの生産が盛んな地中海沿岸での昔からの食事法です。
この食事法は、健康に良い!ということで世界の注目を集めている食事法でもあります。
今回は、地中海式食事法がどのようなものか?ということや、地中海式食事法と便秘の改善やダイエットとの関係性についてご紹介していきます。
地中海式食事法とはどういうもの?
地中海式食事法とは、その名の通り、地中海周辺地域に住んでいる人々の食事のことです。
なぜ「地中海式食事法」というものが世界に広まっているかというと、
地中海式の食生活を送る人々は、北欧やアメリカの人々よりも冠動脈疾患(※1)が少ないというデータがあるほど、健康に良い食事だからです。
(※1)冠動脈疾患=狭心症や心筋梗塞など心筋への血液が遮断されて起きる病気のこと
地中海式“食事法”といっても、地中海地域に住む人々の昔からの食生活のことですので細かい制限はありません。
大体、以下のような食事を行っているということがわかっています。
■地中海式食事の内容
- タンパク質源の摂取優先度は、
魚(魚介類)> 鶏 > 卵 >>> 牛や豚の赤身肉 - 食事で摂取する油はオリーブオイルがメイン
- ナチュラルチーズやヨーグルトを毎日摂取する
- 果物、豆・ナッツ類、野菜は毎日たくさん摂取する
- 穀類は毎日摂取する
- お酒はワインを適度に
- 料理の味付けにはハーブを多用
図で表すと以下のようになります。
図の下にあるもの(面積が多いもの)ほど頻度が高く、量を多く摂取することを示します。
糖質抜きダイエットや甘いものを我慢するダイエットなどのように制限を設けるものではなく、
体に良い食べ物をバランスよく食べましょう、という食事法になります。
厳しい制限がない分、続けやすいのが特徴です。
では、具体的にどのような効果が期待できるのか、もう少し詳しく説明します。
■ タンパク質源の摂取優先度は、魚(魚介類)> 鶏 > 卵 >>> 牛・豚の赤身肉
地中海式食事法では、タンパク質源として新鮮な魚介類が多く取り入れられます。
これによって、良質なタンパク質と、DHAやEPAといった“n-3系不飽和脂肪酸”を摂取することができます。
n-3系不飽和脂肪酸は、特に魚に多く含まれる栄養素で、
血中中性脂肪値の低下、不整脈の発生防止、血栓生成防止などの作用があるため、
生活習慣病の予防効果が期待できるといわれています。
また、毎日摂取するとされている、ナチュラルチーズ(※2)やヨーグルトの乳製品も良質なタンパク質源の1つです。
(※2)ナチュラルチーズとは、6Pチーズのようなプロセスチーズ(高温加熱加工されたチーズ)ではなく、カマンベールチーズのような加工されていないそのままの状態のものです。
高温加熱加工がされていないため、チーズの中に乳酸菌が生きています。
これらの乳製品を食べることによって、良質なタンパク質以外に“乳酸菌”も摂取しています。
乳酸菌には、腸内環境を整える効果や免疫力を高める効果、血中の悪玉コレステロールを減らす効果があるといわれています。
■食事で摂取する油はオリーブオイルがメイン
地中海式食事法では、バターやサラダ油の代わりにオリーブオイルを使用します。
地中海ではオリーブの生産が盛んで、オリーブオイルに昔からなじみがあるためです。
オリーブオイルには、主成分である“オレイン酸”に血中の悪玉コレステロール(LDL)を減らす効果があります。
また、質の良いオリーブオイルには“ポリフェノール”や“ビタミンA”、“ビタミンE”が含まれているため、抗酸化作用も期待できます。
なお、地中海式の食事を摂っている人々は日本人よりも脂質の摂取量が多いのですが、
日本人よりも大腸がんの発生率は低いと言われています。
これは、日本人が食事で摂取する油(サラダ油やバターなど)よりも
地中海式の食事で摂取している油(オリーブオイル)の方が油の質が良いからかもしれませんね。
また、「地中海式食事法といえばオリーブオイル」というくらい、オリーブオイルは地中海式食事法にはかかせない存在です。
地中海式食事法を実践してみたい場合は、まずは日々使用する油をオリーブオイルに変えてみるところから始めてみてはいかがでしょうか?
以下の記事で通販で人気のエキストラバージンオリーブオイルを紹介していますのでよかったら参考にしてみてください。
>>【オリーブオイルの通販】人気のおすすめ5選!口コミや特徴を紹介
オリーブオイルの風味が苦手な方は、エキストラバージンオリーブオイルではなくピュアオリーブオイル(※3)と表記のあるものを選ぶといいですよ。
(※3)
オリーブから搾ったそのままのオイルがエキストラバージンオリーブオイルだとすると、
ピュアオリーブオイルは、精製されて風味が少なくなったオリーブオイルにエキストラバージンオリーブオイルを混ぜたものです。
このためピュアオリーブオイルはエキストラバージンオリーブオイルに比べて香りが少ないという特徴があります。
なお、オリーブオイルは生食用というイメージがあるかもしれませんが、加熱しても問題ありません。
普段のサラダ油の代わりに使ってOKです。
詳しくは以下の記事で紹介していますので気になる方は読んでみてくださいね。
>>オリーブオイルの加熱は危険?酸化、栄養、香りへの影響を詳しく解説!
■果物、豆・ナッツ類、野菜は毎日たくさん摂取する
地中海式食事法では、野菜を煮込み料理や炒め料理で摂取します。
ラタトゥイユやカポナータなどです。(どちらも野菜をトマトで煮込んだ料理)
地中海式食事法で使用する食材はトマトとの相性が良いため、トマトで煮込むような料理が多いです。
野菜は火を通すとカサが減ってたくさん食べられますので
具だくさんの煮込み・炒め料理を作ることでたくさんの野菜を摂取することができます。
また、料理の味付けにはハーブを多用しており、そのおかげでその他の調味料は最低限の量になっています。
さらに、ハーブには鎮痛作用や消化を促す作用などの効能もありますので、より健康的な食事を摂ることができます。
野菜や果物、豆・ナッツ類を摂取することによって摂取できるのは、食物繊維やビタミン、ミネラル、そして抗酸化成分です。
それぞれの特徴は以下の通りです。
・食物繊維
小腸での油の吸収を抑える効果がありますので、体に脂肪をためにくくすることが期待できます。
また、消化をゆるやかにしますので、腹持ちも良くなります。
・ビタミン
炭水化物・タンパク質・脂質などの代謝に必要な栄養素です。
・ミネラル
血液や骨、筋肉など体を構成する栄養素で、体の調子を整える栄養素です。
これらは現代では不足しがちな栄養素でもありますので、具だくさんなスープや煮物などを活用して上手に摂取したいですね。
■穀類は毎日摂取する
穀類を摂取する理由は、脳などブドウ糖をエネルギー源としている体中の組織にブドウ糖を供給するためです。
体の組織の中には、エネルギー源としてブドウ糖しか利用できない組織もありますので、穀類の摂取は必須です。
(穀類の多くは消化されるとブドウ糖に変換されます)
ご飯なら玄米、パンやパスタなら全粒粉入りのものにすると食物繊維やビタミン、ミネラルも摂取できますのでより良いですね。
また、炭水化物となる食材でも、食後血糖値が上がりにくい食材(低GI食品)を選ぶのがおすすめです。
地中海式食事法ではパスタが食べられることが多いですが、パスタは低GI食品です。
低GI食品をよく摂取している、ということも地中海式食事法の良いところの1つです。
低GI食品例:パスタ、玄米、全粒粉入りパン、そば
■お酒はワインを適度に
赤ワインにはポリフェノールが多いので健康に良い、ということは聞いたことがあると思います。
”ポリフェノール”は抗酸化作用が高い成分です。
ビールや日本酒には含まれていない成分ですので、これらを飲むよりは健康に良いアルコール飲料だと言えるでしょう。
ただし、アルコールを摂取しすぎることは体に良くありませんので「適度に」というところがポイントです!
地中海式食事法は便秘の改善にも良い?
地中海式食事法は便秘にも効果的であると言われています。
理由は2点あります。
- オリーブオイルを使用するため
オリーブオイルの主成分であるオレイン酸は、小腸で吸収されにくく長く滞在するので腸を刺激します。
また、腸の中で潤滑剤としての働きをするので、溜まった便の滑りが良くなり、出やすくなります。 - 食物繊維を豊富に摂取するため
地中海式食事法で良く食べられる野菜や豆類、果物には食物繊維が豊富に含まれているので、便秘の改善につながります。
また、食物繊維には中性脂肪を低下させる効果もあります。
地中海式食事法でダイエットできる?
地中海式食事法は「地中海式ダイエット」と呼ばれることもあります。
過去に、「地中海式ダイエット(地中海式食事法での食事)」「低脂肪ダイエット」「低炭水化物ダイエット」の比較研究が実施されました際の結果を紹介します。
(結果内では「地中海式」「低脂肪」「低炭水化物」と記載します)
■体重減少
低炭水化物(-5.5kg) > 地中海式(-4.6kg) > 低脂肪(-3.3kg)
※期間不明。3つのダイエットの効果比較用に記載
■悪玉コレステロール値改善
地中海式(-5.6mg/dl) >> 低炭水化物(-3mg/dl) >>> 低脂肪(-0.05mg/dl)
体重減少量は低炭水化物ダイエットよりも少ない結果でしたが、悪玉コレステロール値は最も改善されました。
この結果から、痩身ダイエットというよりは、大人の生活習慣病の予防としてのダイエットとしての効果は高そうです。
地中海式食事法における食事内容のピラミッドをもとに食生活を組み立てることはもちろん大切ですが、
個人的には、この食事法で油として摂取するオリーブオイルが最も重要ポイントだと感じています。
先ほども記載した内容にはなりますが、オリーブオイルに含まれる成分には以下の作用があります。
・オレイン酸⇒悪玉コレステロール(LDL)を減らす
・ビタミンA、ビタミンE、ポリフェノール⇒抗酸化作用
オレイン酸の効果と地中海式ダイエットの結果が一致しますので、オリーブオイルの成分は地中海式ダイエットの結果に貢献していそうです。
なお、バターに多く含まれる“飽和脂肪酸”という成分は、摂りすぎると悪玉コレステロールを増やすといわれており、
ごま油に多く含まれる“リノール酸”という成分は、オレイン酸と同じく血中の悪玉コレステロールを減少させますが、
同時に善玉コレステロールも減少させてしまうといわれています。
そして、リノール酸は、摂りすぎてしまうと炎症を引き起こす物質を生成してしまいます。
一方で、オリーブオイルの主成分である“オレイン酸”には現時点で摂り過ぎた際のデメリットは特に聞きません。
また、オリーブオイルはオレイン酸が豊富な分、飽和脂肪酸やリノール酸が含まれている割合が低いですので、これらを摂りすぎる心配が少ないです。
オリーブオイルは体に良い成分が摂取できることに加え、摂りすぎると良くない成分は少ない油ですので、
油を使用(摂取)するのであればオリーブオイルがおすすめであることをわかっていただけるのではないでしょうか。
オリーブオイルに含まれる脂肪酸については以下の記事でもう少し詳しく紹介しています。
気になる方は読んでみてください。
>>【オリーブオイル】飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、トランス脂肪酸とは?どれくらい含まれる?
まとめ
最後に改めて地中海式食事法の内容を記載します。
■地中海式食事の内容
- タンパク質源の摂取優先度は、
魚(魚介類)> 鶏 > 卵 >>> 牛や豚の赤身肉 - 食事で摂取する油はオリーブオイルがメイン
- ナチュラルチーズやヨーグルトを毎日摂取する
- 果物、豆・ナッツ類、野菜は毎日たくさん摂取する
- 穀類は毎日摂取する
- お酒はワインを適度に
- 料理の味付けにはハーブを多用
図で表すと以下のようになります。
地中海式食事法で、栄養のある食品をバランスよく摂取することで、生活習慣病の予防効果が期待できます。
なかなか実現できそうにない項目もあるかもしれませんが、地中海式食事法をやってみたい方は、できることから始めてみてはいかがでしょうか。
この機会に調理用オリーブオイルを買おうと思っている方は以下の記事も参考にしてくださいね。
>>【オリーブオイルの通販】人気のおすすめ5選!口コミや特徴を紹介