オリーブオイルとグレープシードオイルの違い(ビタミン含有量や使い方など)を解説!

今回は、近年健康志向の方に注目されているオリーブオイルとグレープシードオイルの使い方や、栄養成分に関する違いを解説していきます。

毎日の料理に欠かせない食用油の知識を深めるための参考にしてくださいね!

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【オリーブオイルとグレープシードオイルの違い】使い方

オリーブオイル、グレープシードオイルともに熱に強い性質を持っているので、生食から加熱調理や揚げ物への使用まで幅広く使用されています。

よって、どちらのオイルも特に使い方に制限をかける必要はないと思います。

風味に関する特徴は以下です。

■オリーブオイル
マイルドでフルーティーなものや、辛みや苦みの強いスパイシーものなど、様々な風味があります。

料理とオイルをうまく組み合わせることで、料理の美味しさをさらに引き立てることもできます。

しかし中には、オリーブオイル独特の風味が苦手な方も居ます。


■グレープシードオイル
オリーブオイルとは異なり、味や香りがほとんどないのが特徴です。

オリーブオイルのような風味が強いオイルが苦手な方や、素材そのままの風味を楽しみたい方に好まれているようです。

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【オリーブオイルとグレープシードオイルの違い】栄養成分

①.脂肪酸含有量の違い

油に含まれる脂肪酸は、飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸の3種類から構成されており、

この3種類が含まれる量によって油の性質が大きく変わってきます。

まずは、オリーブオイルとグレープシードオイルの脂肪酸の構成を以下に示します。

■オリーブオイル(100g中)
飽和脂肪酸:13.29 g
一価不飽和脂肪酸:74.04 g
多価不飽和脂肪酸:7.24 g

■グレープシードオイル(100g中
飽和脂肪酸:10.93 g
一価不飽和脂肪酸:17.80 g
多価不飽和脂肪酸:63.55 g

(※)数値は日本食品成分表2010,2020を参考にしています。

大きな違いがあるのは、一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸の含有量です。

ここからは、それぞれの脂肪酸の特徴を簡単に解説していきます。

飽和脂肪酸について

飽和脂肪酸とは、酸化しにくい脂肪酸のことで、豚肉や牛肉などの脂身部分や、卵やバターなどの動物性油脂に多く含まれる成分です。

酸化しにくいということで、一見良さそうなイメージを持ってしまいそうですが、

過剰に摂取することで悪玉コレステロールが増加してしまい、動脈硬化や脳卒中などの生活習慣病のリスクを高めてしまいます。

100g中の飽和脂肪酸の量は、オリーブオイルで約13g、グレープシードオイルで約11gで大きな違いはありません。

一価不飽和脂肪酸について

100g中の一価不飽和脂肪酸の量は、オリーブオイルで約74g、グレープシードオイルで約18gで大きな違いがあります。

食用油に含まれる一価不飽和脂肪酸は、ほぼすべてがオレイン酸という栄養素です。

オレイン酸は血中の善玉コレステロールは減少させずに、悪玉コレステロールのみを減少させる効果があります。

また、加熱しても酸化しにくいので、炒め物や揚げ物に使用しても”過酸化脂質”という人体に有害な物質を生成しにくい特徴があります。

※過酸化脂質とは?

過酸化脂質は動脈硬化やシミ・しわの要因になる物質で、発がん性物質としても知られています。

酸化した油が危険であると言われる主な理由は、この過酸化脂質を多く含んでいるためです。

■関連記事
>> オリーブオイル加熱時の影響(酸化、危険性、栄養、香り)を詳しく解説!


食用油においては、一価不飽和脂肪酸が多いものは酸化しにくく、炒め物や揚げ物にも安全に使用できると考えて良いでしょう。

多価不飽和脂肪酸について

100g中の多価不飽和脂肪酸の量は、オリーブオイルで約7g、グレープシードオイルで約64gで、一価不飽和脂肪酸と同じく大きな違いがあります。

食用油に含まれる多価不飽和脂肪酸は、大半がリノール酸という栄養素です。

リノール酸はオレイン酸と同じく、血中の悪玉コレステロールを減少させる効果があるのですが、同時に善玉コレステロールも減少させてしまう効果もあります。

リノール酸は、不足していると皮膚炎などを発症してしまい、

摂りすぎてしまうと炎症を引き起こす物質を生成したり、子供が喘息を起こしやすくなったりします。

現代の食環境においては、リノール酸は意識していなくても様々な食品から摂取できているようですので、

積極的に摂取する必要はなく、むしろ摂り過ぎに注意が必要であると言われています。

リノール酸は酸化しやすい

リノール酸は、上でご紹介したオレイン酸とは異なり、酸化しやすい(過酸化脂質になりやすい)性質があります。

しかし、リノール酸を多く含んでいるはずのグレープシードオイルは、酸化しにくいと言われています。

これは、グレープシードオイルがビタミンEを豊富に含んでいるためです。

ビタミンEは抗酸化作用があり、脂質が過酸化脂質になるのを抑制する働きがあります(※)

(※)参考文献:ビタミンEと抗酸化性

【まとめ】脂肪酸含有量の違い

ここまでの脂肪酸に関する情報をまとめると、以下のようになります。

■オリーブオイル
・約75%が一価不飽和脂肪酸(オレイン酸)から構成されています。

・オレイン酸は血中の善玉コレステロールは減少させずに、悪玉コレステロールのみを減少させる効果があります。

・オレイン酸は酸化しにくい性質があります。


■グレープシードオイル
・約65%が多価不飽和脂肪酸(リノール酸)から構成されています。

・リノール酸は血中の悪玉コレステロールを減少させる効果がありますが、同時に善玉コレステロールも減少させてしまう効果もあります。

・リノール酸は積極的に摂取する必要はなく、むしろ摂り過ぎに注意が必要であると言われています。

・リノール酸は酸化しやすいですが、グレープシードオイルの場合は豊富に含まれるビタミンEによって、酸化が抑制されています。

②.ビタミン含有量の違い

まずは、オリーブオイルとグレープシードオイルに含まれる代表的なビタミンと含有量(100g当たり)を以下に示します。

(1μg = 100万分の1g、1mg = 1000分の1g です)

ビタミンA(※1)ビタミンE(※2)ビタミンK
オリーブオイル15μg7.4mg42μg
グレープシードオイル015.2mg190μg
数値は日本食品成分表2010,2020を参考にしています。
(※1) レチノール当量を指します。
(※2) αトコフェロールを指します。

これだけを見てもよくわからないと思いますので、それぞれのビタミンの性質や

日本人の食生活で不足しているのか?十分足りているのか?という部分について解説していきます。

ビタミンAについて

100g中のビタミンAの量は、オリーブオイルで約15μg、グレープシードオイルで0gとなっています。

ビタミンAの役割としては、視力低下の防止、正常な免疫機能の維持、シミ生成の防止、抗酸化作用などが挙げられます。

1日当たりに必要なビタミンAの量と、日本人の摂取状況を以下の表に示します。

■成人男性

必要量 (μgRAE)550~600
推奨量 (μgRAE)800~850
平均摂取量 (μgRAE)450~650
(参考)
・日本食品成分表2010
・厚生労働省:令和元年国民健康・栄養調査報告

成人男性の平均摂取量は、必要量を満足できるかできないかくらいの値であり、推奨量には届いていないのが現状です。


■成人女性

必要量 (μgRAE)450~500
推奨量 (μgRAE)650~700
平均摂取量 (μgRAE)400~600
(参考)
・日本食品成分表2010
・厚生労働省:令和元年国民健康・栄養調査報告

成人女性の場合についても、必要量を満足できるかできないかくらいの値であり、推奨量には届いていないのが現状です。


以上より、ビタミンAは不足がちなので積極的に取り入れた方が良いと考えられます。

ビタミンEについて

100g中のビタミンEの量は、オリーブオイルで約7.4mg、グレープシードオイルで15.2mgとなっています。

ビタミンEの役割としては、抗酸化作用、悪玉コレステロールの減少、血栓の防止などが挙げられます。

ビタミンAのように、1日当たりに必要な量や推奨量はありませんが(科学的な根拠がないため)、

摂った方が良いとされる目安量は定められていますので、日本人の摂取状況と合わせて以下の表に示します。

■成人男性

目安量 (mg)7.0
平均摂取量 (mg)6.0~7.5
(参考)
・日本食品成分表2010
・厚生労働省:令和元年国民健康・栄養調査報告

成人男性の場合、おおよそ目安量くらいは摂取できていると言えます。


■成人女性

目安量 (mg)6.5
平均摂取量 (mg)5.5~7.5
(参考)
・日本食品成分表2010
・厚生労働省:令和元年国民健康・栄養調査報告

成人女性の場合についても、おおよそ目安量くらいは摂取できていると言えます 。


以上より、ビタミンEは日本人の食生活の中で、摂った方が良いとされる目安量程度は摂取できていると言えます。

ただし上でもご説明したように、油の酸化を抑制するという意味では、ビタミンEが多いほうが有利であると考えられます。

ビタミンKについて

100g中のビタミンKの量は、オリーブオイルで約42μg、グレープシードオイルで190μgとなっています。

ビタミンKは血液を固まらせる働きがあり、不足すると出血が止まりにくくなります。

ビタミンEと同様、摂った方が良いとされる目安量は定められていますので、日本人の摂取状況と合わせて以下の表に示します。

■成人男性

目安量 (μg)75
平均摂取量 (μg)200~300
(参考)
・日本食品成分表2010
・厚生労働省:令和元年国民健康・栄養調査報告

成人男性の場合、目安量を十分摂取できていると言えます。


■成人女性

目安量 (mg)60~65
平均摂取量 (mg)200~270
(参考)
・日本食品成分表2010
・厚生労働省:令和元年国民健康・栄養調査報告

成人女性の場合についても、目安量を十分摂取できていると言えます 。


以上より、ビタミンKは日本人の食生活の中で、目安量を満たす量を十分に摂取できていると言えます。

逆に目安量より摂取量が大幅に多く、摂りすぎでは?と思うかもしれませんが、

ビタミンKの摂り過ぎによる健康障害等の報告はこれまで無いようですので、あまり気にする必要はないと考えられます。

【まとめ】ビタミン含有量の違い

ここまでのビタミンに関する情報をまとめると、以下のようになります。

▼オリーブオイル、グレープシードオイルに含まれる主なビタミンの含有量

ビタミンA(※1)ビタミンE(※2)ビタミンK
オリーブオイル15μg7.4mg42μg
グレープシードオイル015.2mg190μg
数値は日本食品成分表2010,2020を参考にしています。
(※1) レチノール当量を指します。
(※2) αトコフェロールを指します。


■ビタミンA
・視力低下の防止、正常な免疫機能の維持、シミ生成の防止、抗酸化作用など

・不足がちなので、積極的に取り入れた方が良いと考えられます。


■ビタミンE
・抗酸化作用、悪玉コレステロールの減少、血栓の防止など

・普段の食生活で目安量程度は摂取できています。

・油の酸化を抑制するという意味では、ビタミンEが多いほうが有利そうです。


■ビタミンK
・血液を固まらせる働きがあります。

・普段の食生活の中で、目安量を満たす量を十分に摂取できています。

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最後に

以上、オリーブオイルとグレープシードオイルの使い方や、栄養成分に関する違いを解説しました。

栄養成分に関しては詳しめに解説しましたが、関心を持っていただけましたでしょうか?

オイル以外の食材についても栄養成分を気に掛けるきっかけになれば幸いです^^

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