今回はオリーブオイルの搾油方法について、以下の3つの製法をご説明していきます。
- 遠心分離製法(コールドプレス)
- 圧搾製法
- パーコレーション法(シノレア法)
どのような方法で作られているかによって、オリーブオイルの風味も変わってきますので、購入する際の参考にしてみてくださいね。
オリーブオイルの搾油方法①:遠心分離製法(コールドプレス)
遠心分離製法は、オリーブオイルの搾油方法として最も多く使用されている製法で、約80%がこの方法にょって作られていると言われています。
■遠心分離製法の流れ
1.収穫の際に混ざった葉や異物を取り除きます。
2.粉砕機でオリーブの実を砕き、ペースト状にします。
3.遠心分離機で固形分と果汁を分離します。
4.果汁をさらに遠心分離にかけて、果汁をオイルと水分に分離する。
■遠心分離製法のメリット
⇒ 空気に触れにくく、衛生的かつ効率的であり、オリーブオイルの最適な搾油方法として考えられています。
■遠心分離製法のデメリット
⇒ 遠心分離によって水分を取り除く工程で、香りや栄養などの成分が失われやすく、後で紹介する”圧搾法”などと比べてオイルの個性が弱くなる傾向がある。
コールドプレスとは?
オリーブオイルのラベル表示で度々目にする”コールドプレス”というものがありますが、コールドプレスは遠心分離製法の中の1つの方法です。
遠心分離製法において、搾油量を多くするために加熱処理を施す方法があるのですが、加熱をしてしまうとオリーブオイルの風味が落ちてしまいます。
これに対して、コールドプレスの表示があるものは30℃以下で遠心分離がされており、風味が豊かなオリーブオイルとなっています。
オリーブオイルの搾油方法②:圧搾製法
圧搾製法は、昔ながらのシンプルな搾油方法です。
■圧搾製法の流れ
1.収穫の際に混ざった葉や異物を取り除きます。
2.石臼でオリーブの実を砕き、ペースト状にします。
3.ペースト状のオリーブを薄く広げ、機械でゆっくりとプレスする。
(この時、油分と水分が搾り出されます。)
4.時間が経つと油分と水分が分離します。分離した油分をさらにろ過することでオリーブオイルの完成です。
■圧搾製法のメリット
⇒ 加熱処理がないので、オリーブオイル本来の風味や栄養が失われにくい。
■圧搾製法のデメリット
⇒ プレスしてオイルを搾り出すまでの間、常に空気にさらされているので、酸化が進行しやすい。
オリーブオイルの搾油方法③:パーコレーション法(シノレア法)
パーコレーション法(シノレア法)は、最新の搾油方法です。
遠心分離製法や圧搾製法に比べて、あまり出回っていない方法になっています。
■パーコレーション法(シノレア法)の流れ
(1~3までの工程は、遠心分離製法とほぼ同じです。)
1.収穫の際に混ざった葉や異物を取り除きます。
2.粉砕機でオリーブの実を砕き、ペースト状にします。
3.遠心分離機で固形分と果汁を分離します。
4.パーコレーションマシーン(※)によって、果汁の中のオイルのみを吸着して取り出す。
■パーコレーション法(シノレア法)のメリット
⇒ 遠心分離製法や圧搾製法と比較して、搾油の際に無理な圧力がかからないので、出来上がりのオイルはえぐみがなく高品質。
■パーコレーション法(シノレア法)のデメリット
⇒ 遠心分離製法や圧搾製法よりも手間がかかる。
(参考)ノンフィルターとは?
ネットなどでオリーブオイルの商品説明を見ていると、”ノンフィルター”という文字をたまに目にします。
多くのオリーブオイルは、オイル中の浮遊物を取り除くためにフィルターでろ過されています。
しかし、オイル本来の風味を保つために、あえて無ろ過の状態で瓶詰めする場合があり、このようなものをノンフィルターのオイルと言います。
ノンフィルターのオリーブオイルは、光に透かして見ると細かな浮遊物が漂っていたり、下の写真のように瓶の底に沈殿物が見られるものもあります。
ノンフィルターのオリーブオイルは、風味が豊かであるというメリットがある反面、浮遊物は酸化しやすいので、賞味期限が短くなっています。
・フィルターにかけたオイル:18カ月程度
・ノンフィルターのオイル:12カ月程度
使用する際は、沈殿物が再び浮遊しないようにそっと傾けてオイルを出すようにしましょう。
まとめ
以上、オリーブオイルの搾油方法について、3つの製法をご説明しました。
それぞれの特徴をまとめると、以下のようになります。
■遠心分離製法(コールドプレス)
⇒ 搾油方法としては最も多く使用されています。(全体の約80%)
空気に触れにくく、衛生かつ効率的ですが、圧搾法などに比べてオイルの個性が弱くなる傾向があります。
30℃以下で遠心分離がされた場合はコールドプレスと呼び、風味が豊かなオリーブオイルとなっています。
■圧搾製法
⇒ 昔ながらのシンプルな搾油方法です。
オリーブオイル本来の風味や栄養が失われにくいですが、酸化が進行しやすい製法となっています。
■パーコレーション法(シノレア法)
⇒ 最新の搾油方法であり、遠心分離製法や圧搾製法に比べてあまり出回っていない製法です。
出来上がりのオイルはえぐみがなく高品質ですが、遠心分離製法や圧搾製法よりも手間がかかります。