肉や魚をしっとり柔らかく美味しくしてくれる塩麹は、
とっても便利な割に、少ない材料で作れて工程も簡単なので、
手作りしてみたいと考える方も多いのではないでしょうか。
ただ、塩麹は発酵させて作るものですので、
初めての場合は特に、
ちゃんと出来上がるのかな、とか、
腐らせてしまいそう、と心配になりますよね。
塩麹を発酵させているときに想像と違う色や見た目になって、
このままで良いのかと不安になることもあると思います。
今回は、塩麹を作り慣れていない方に向けて、
塩麹を手作りする際に考えられる失敗例や、
発酵中の塩麹が茶色く変色した場合や白いふわふわが出た場合は失敗にあたるのか?
など、ご紹介します。
塩麹の失敗例
塩麹は、「米麹」「塩」「水」を混ぜ合わせて常温で発酵させるというとてもシンプルな作り方です。
材料をきちんと量り、清潔な容器を使用し、日々かき混ぜることを忘れなければそうそう失敗しないものなので、
作りたいと考えているかたにはぜひチャレンジしてもらいたいです。
そうはいっても塩麹は生きている酵素の力を使って作る食品ですので
想定外の出来栄えになることも考えられます。
このため、ここでは塩麹作りに失敗した場合の状況とその原因をご紹介します。
失敗①:発酵中/保管中に青カビや黒カビが生えてきた(白以外のカビ)
⇒容器が消毒しきれていなかったか、かき混ぜるスプーンなどに雑菌がついていた可能性があります。
発酵容器や保管容器、かき混ぜで使用するスプーンなどは、煮沸消毒やアルコール(70%前後)での消毒を忘れずに行ってくださいね。
失敗②:炊飯器の保温機能やヨーグルトメーカーを使用して作る際、塩麹を60度以上に温めた
⇒塩麹の酵素は60度を超えると失活しはじめる(働かなくなる)といいます。
塩麹の発酵が進まなくなる可能性があるため、塩麹は60度に到達しないように温度管理を行う必要があります。
失敗③:塩麹から酸味やアルコール臭がする
⇒特にアルコール臭がする場合は過発酵のサインです。
発酵中のかき混ぜを忘れていた、完成しているのに冷蔵庫に入れていなかったなどで過発酵になってしまうので要注意です。
できる限り毎日かき混ぜ、味見で出来栄えを確認してみてくださいね。
なお、アルコール臭はしないが酸っぱい場合は、乳酸発酵が進んだ可能性があります。
(乳酸菌が混ざってしまった場合や、塩分を減らして作る塩麹で起きやすい)
ヨーグルトやぬか床などの発酵食品から乳酸菌が混入することも考えられるようです。
発酵中は特に塩麹に発酵食品を近づけないように気を付けた方が良さそうです。
また、塩分控えめの塩麹でも乳酸発酵が起きる可能性がありますが、
それよりも塩分を減らした塩麹は腐敗する可能性も高まるので
塩麹を作る際はレシピ通りに塩を入れましょう!
(塩分が気になる場合は調理の際に塩麹を減らすなどで対応しましょう^^)
過発酵と乳酸発酵、どちらも腐ったわけではないので、完全な失敗ではないのですが、
長時間漬けるとアルコール臭や酸味が気になりやすいので
調味料として加熱して使ったり、ドレッシングの材料とするなどの使い道になると思います。
塩麹の一番の特性(お肉を柔らかく、旨味を出す)を生かすことができないので、失敗例としました。
以上が想定される失敗パターンです。
実際に作ってみると、
容器やスプーンを消毒して使用していても、
雑菌は目に見えないので
本当に消毒できているのか、とか
日々雑菌が混ざっていないだろうか、と心配になることもあると思います。(経験談です^^;)
ですが、そうはいっても見えないものは見えないので、
やれることはやっている!と自信をもって先に進みましょう!
塩麹の茶色い変色や白いふわふわは大丈夫なの?
塩麹を作る際、
塩麹の色が茶色やグレーに色づくことがあります。
また、表面に白いふわふわが出てくることもあります。
先ほど紹介した塩麹作りの失敗例では、
塩麹が茶色やグレーに変色したことや白いふわふわが出てきたことについて書いていません。
これは、どちらも失敗ではないためです。
というのも、塩麹の色が茶色やグレーになることは、
塩麹内の糖分とアミノ酸/たんぱく質により起こるメイラード反応という化学反応で、
腐ったから色づくものではありません。
そして、白いふわふわですが、こちらも米麹の酵母菌が増殖してできたもの(産膜酵母)で、
腐ったことによるカビではありません。
(※臭い場合はカビの可能性もあります)
白いふわふわの量が多い場合は塩麹の風味を悪くするので
スプーン等である程度取り除き、その後全体をよくかき混ぜましょう。
白いふわふわが少量の場合は全体をかき混ぜればOKです。
なお、この産膜酵母ができる理由として考えられることは、塩麹のかき混ぜ不足です。
(酸素のある環境で増殖しやすいため、かき混ぜ不足の場合、空気と接しているところで酵母菌が増殖しやすい)
1日1回全体をよくかき混ぜることで表面にふわふわが出てくることを抑えることができますので
毎日忘れずかき混ぜるようにしましょう!
塩麹に水を足すのは大丈夫?
塩麹を作る際、米麹・塩・水を混ぜて、1日置いておくと、
水分がカラカラに乾いている!ということがあるかもしれません。
こんなとき、水を足した方がいいのか、足さない方がいいのか、悩みますよね。
ちなみに、使用する米麹が乾燥米麹の場合は特にこの事象が起きやすいです。
1日経った時点で米麹が水分を吸ってしまってカラカラになっている場合は
水分が足りず発酵が進まない部分がでてしまうので、
水を足してOKです。
このとき足す水の量は、米麹が隠れる程度までです。
ここでたぷたぷに水を入れすぎた場合は塩分濃度が下がって腐敗しやすくなりますので入れすぎには注意が必要です。
なお、水を足すのは基本的には発酵2日目の1回きりです。
3日目以降は混ぜて置いておくと水分が出てくることがほとんどなので、様子を見てみてくださいね。
塩麹はどんな味?しょっぱい?匂いは?
この記事を読んでくださっている方は、塩麹を食べたことがある方が多いのでは、と思いますが、
まだ塩麹を食べたことがない方に向けて塩麹の味について紹介します。
塩麹はその名の通り塩が多く含まれている食品ですので、それだけを食べると塩味が強く、しょっぱいです。
ですが、米麹が甘味や旨味をもっているため、
塩味以外に、ほのかな甘み・旨味が感じられます。
塩味についても、ガツンととがった塩味ではなく、
甘みや旨味があるので、まろやかな塩味という感じです。
なお、雰囲気は甘酒に似ています。
甘酒ほど甘くはありませんし、塩味もあるので別物なのですが、
やはり同じ米麹でできているものなので、似た雰囲気がありますね。
匂いについてですが、
酵素は生き物ですので、塩麹ごとに香りは異なります。
といってもフルーティーなものが多いと感じます。
フルーティーな塩麹は何度でも香りをかぎたくなるようないい香りです^^
■まとめ
塩麹作りに失敗しないためには、まず以下の4点に気を付けましょう。
・レシピ通りの材料を用意すること(塩分を減らさない)
・保存容器やかき混ぜる道具はきちんと消毒(煮沸/70度前後のアルコール)すること
・塩麹が60度を超えないように温度管理すること
・毎日かき混ぜること
そのうえで以下の3点を頭の片隅に置いておいてください^^
・塩麹が茶色く変色しても腐敗ではないので心配しなくてOK!
・塩麹表面に白いふわふわが出てきた場合も腐敗ではなく、酵母菌が増殖したものなので、
取り除く or 少量の場合は全体を混ぜ込めばOK!
※毎日かき混ぜることが予防になります
・塩麹作り2日目、水分がなくカラカラになっている場合は、米麹が浸るくらいまで水を足してOK
塩麹は作り方が難しいものではありませんが、
生きているものなので、レシピ通りに進まない場合があるところが難しいと思います。
しかし、失敗かどうか判別できる情報があれば
塩麹を作る上で悩まなくて済むので
ご紹介した内容が参考になればうれしいです。